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interview / インタビュー

医療現場に希望の光をともす

鵬翔高等学校看護専攻科「コロナに負けないプロジェクト」

鵬翔高等学校で実施されていた「コロナに負けないプロジェクト」が、「防災・減災×サステナブル大賞 アカデミー&ジュニアアカデミー部門 コミュニティ賞」、「ジャパン・レジリエンス・アワード  STOP感染症 最優秀賞」を受賞されました。看護師として夢に向かって学ぶ学生のみなさんが、日本の医療に光を差しているときき、今回の活動の中心を担っていたみなさんに会いにいってきました。

今回、お話をきかせてくださったのは、鵬翔高等学校 看護専攻科の2年生の吉田早希さん、谷口陽香さん、岩切沙菜さん、土工由李華さん。そして、学生のみなさんを指導されている専任教員 蓮池恵理子先生です。

「コロナに負けないプロジェクト」では、2021年、宮崎市内の新型コロナウイルスワクチンの集団接種会場で、接種者の検温などを行うボランティアとして活動しました。

コロナ禍で病院実習やボランティア活動が次々にできなくなっていた学生のみなさんが、「看護学生にいま、なにができるのか」について対話を繰り返したなかで、「コロナワクチン接種会場でボランティアをしよう」という声があがったことがきっかけでした。

  • 生徒が主体となってすすめた「コロナに負けないプロジェクト」

(写真提供/鵬翔高等学校 看護専攻科)

学内でボランティアを募ると、30人もの学生が手をあげ、複数回にわけて実施。集団接種会場にきた方の誘導、消毒や検温、ワクチンの副反応についての説明などを行いました。

「行くまでは役に立てるだろうかという不安もありましたが、接種会場にきていた方から、細かく説明してくれてありがとう、不安が払拭されたという声をきき、ほっとしました」語る吉田早希さん。

臨時実習がなくなっていた学生さんたちにとって、看護師さんと患者さんの関わりを近くで見ることができたのも、学生のみなさんにとっては大きな学びになったそう。

「患者さんへの声かけの方法、どのように話せばいいのかを学びました。そっと近くにいて、優しく声かけをする姿をみて、わたしもそんな患者さんに寄り添える看護師さんになりたいと感じました。」とかたる岩切沙菜さん。

一方で、感染症対策のフェイスシールドをつけていることで声がとおりづらい、相手がマスクをつけていることで表情が読みとりづらいなどの難しさもあったようです。

(写真提供/鵬翔高等学校 看護専攻科)

普段よりより大きめにジェスチャーをしながら伝え、表情を豊かにすることを意識するなどの工夫をしました。

  • 医療業界で頑張る人たちにエールを

(写真提供/鵬翔高等学校 看護専攻科)

ほかにも、コロナ禍で現場が疲弊し、辞めるという選択肢をとる看護師さんも数多くいました。そのなかでも奮闘している医療従事者の方に「頑張ってほしい」とエールを送るために、応援メッセージを書き、送ることもしました。

「直接お渡しすることは叶いませんでしたが、先生が代わりに届けてくださいました。とても喜んでいただけたときき、ほっとしました」と話す谷口陽香さん。

 他にも学んだ専門知識を活かし、感染予防行動の徹底やポスター作成をして校内に掲示するなど、さまざまな企画をたて、形にしてきました。

 活動を近くで見守ってきた蓮池先生は、「自分たちで考えて、主体的に行動する。その行動力に驚きました」と話します。

二つの賞の受賞者には名だたる大学や企業のプロジェクトも。「地元の新聞などで活動を知った方から、SDGsの活動として応募してはどうかと匿名でメールをいただきました。気軽に応募していたのですが、まさかこんなに大きな賞をいただけることになるなんて。学生と驚きました。」と笑う蓮池恵理子先生。

最後に、「どんな看護師になりたいですか?」と尋ねると、思いおもいに語ってくださいました。

土工由李華さんは、「今回のボランティアで自分自身も良い経験ができたなと感じています。働いてからも自ら考え、地域に貢献できるようになりたい」と話すと、他の学生のみなさんも大きく頷いていました。

「今、わたしたちに何ができるか」を問い、アイディアを形にする。これからの時代に必要な力をプロジェクトの中で身につけているみなさんは、凛とした輝きがありました。きらきらとした瞳で真っ直ぐに話す学生のみなさんのお話を聴き、とても勇気づけられる時間でした。

(インタビュアー 長友まさ美)

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