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interview / インタビュー

宮崎一の観光地「青島神社」がとりくむ、美しい島を守り続ける秘訣とは?

宮崎を代表する観光名所「青島神社」は、美しい景観を守りながら、訪れた人たちの旅の思い出にいつまでも残り続けています。
いち早く宮崎電力を取り入れたユーザー様でもある青島神社が取り組む「持続可能な宮崎」のために今、行なっていることを教えていただきました。

教えてくださったのは、禰宜として40年ものあいだ青島神社を見守り続けてきた津曲兼孝さん。

「ここは、約周囲1.5kmの波岩石の上に真砂(まさご)という貝の砂がたい積してできた島です。そのほぼ中心部に鎮座し、10柱の神様がいて青島神社と言われるのが大きな特徴です。青島を上から見るとひょうたんの形をしているので、ひょうたん島と呼ばれることもあるんですよ。」と津曲さん。

たしかに上から見ると、ひょうたんの形!

縁結び、安産、航海安全などにご利益があるとされ、国内だけでなく海外からも多くの参拝客が訪れます。特に、平成23年にミシュラン・グリーン・ジャポンで2つ星を獲得して以降、海外のお客様も多くいらっしゃいました。

年間80万人の参拝者が訪れ、コロナ禍のいまでは少なくなったとはいえ50万人から60万人の方が訪れています。昭和35年の新婚旅行ブームでは、130万人もの人が訪れていたというから、どれほどの人気だったのか想像に難くありません。

それほど多くの人が訪れるなかで、どのように美しい青島を守り続けているのでしょうか。

【美しい場所では、人は自然と美しさを保つ努力をする】

青島神社では、365日欠かすことなく10人ほどで島の掃除をしています。また、あえてゴミ箱を置かないことで、1人ひとりが自分のゴミを持ち帰るようになっています。

「もう一つ、景観を守るために行なっていることがあるのですが、歩いてくるときに気づいたことはありますか?」と笑う津曲さん。

「実は、戦後、電柱を地下に埋設しているのです。水道管も地下に埋設していて、渡ってきた橋の下を通っています」とのこと。何度もこの「弥生橋」を渡っていましたが、初めて知る事実!

埋設することでコストがかかるものの、美しい景観のために先人が努力してきたのです。美しく神聖な場所でもある青島神社では、自然と背筋が伸びて、ゴミをひとつとして落とさないようになるのかもしれません。

昔から変わらない景観といえば、本宮のある亜熱帯性植物群落です。自然栽培植物は226種で熱帯及び亜熱帯植物は27種類にも及び、北半球最北の貴重な群落として国の特別天然記念物にも指定されています。

生命力溢れる緑に囲まれると、まるで南国にきたよう!

青島は、江戸時代まで霊域として一般の人が島に入ることは許されず、旧暦3月16日から3月末日まで入島を許されるのみでした。1737年、一般の人も参拝が許されました。700年前の人たちがみた景色を目にしているのだと思うと、なんともありがたく、不思議な気持ちになりました。

「実は、青島神社の社殿は昭和49年に火事になり、焼失しています。そこから火事には特に気をつけています。島全体が青島神社という貴重な場所なので、文化財として守り続けていきます」と語る津曲さん。

「あたりまえのことを実践し続けるだけ」

SDGsの取り組みについても伺ったところ、「SGDsで掲げられている17の目標は、人の営みにとって当たり前のことしかいっていない。本来、当たり前に必要なのにできていないことを目標としているので、改めて眺めてみると、私たちがこれまで実践しつづけてきたことが整理されているなと感じる」と津曲さん。長い月日をかけて、人々の平和を願い神職をされている津曲さんの言葉には、重みがありました。

「自分の命を生きることがご先祖さまを敬うことになる」という津曲さんのお話をきいていると、世界を変えようと奮起しなくても、目の前のこと、今日という1日を誠実に生きることこそが世界のためになるのかもしれません。

<編集後記>

コロナ禍でさまざまなことが制限される昨今、当たり前のことが当たり前にできる幸せを感じます。足元にある幸せを感じ、目の前のおきることに誠実に、丁寧に向き合っていくことからはじめてみたいと強く感じる取材でした。「これからも長く続くように美しい島と神社を守っていきたい」と話す津曲さんの優しい瞳の奥には、強い決意を感じました。

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